今回は、幸せな人生をおくるための考え方として、心のもち方を考えてみたいと思います。人間は、日々の生活の中で瞬間的に判断をするとき、80%~90%の割合で、本能心、又は感情から判断しているといわれています。その結果、周囲の方の心を傷つけたり、損か得かの判断から正しい判断ができなかったりします。そのために人生において誤った方向へ向かう結果になることが少なくありません。そのようなことの無いようにするためには、次のようなフィロソフィの学びを稲盛和夫氏から頂きました。
『本能心を抑える』
人間は本能と知性の両方を持ってうまれてきます。ものを食べたり、飲んだり、喧嘩をしたり、所有欲や妬みを感じたりするのは、すべて自分自身の命を守り、家族の繁栄を図る自己保存本能のなせる業なのです。その本能のなかで、一番強いものが、「貪欲」、「怒り」、「愚痴」、の三毒といわれる三つの煩悩です。本能、煩悩は、すでにお話した通り、自然が我々に与えてくれたものであり、もしなければ、生きていくことはできません。しかし、もしこの本能、煩悩だけで生きれば動物と同じです。我々は、知性でもって、自分が持つこの本能、煩悩をコントロールしなければ、日常のすべてが、「貪欲」、「怒り」、「愚痴」の三つで支配されてしまうのです。頭で考えるのではなく、反射的にそれらが出てきてしまうのです。反射的に損得を考え、反射的に腹を立て、反射的に不満を募らせる。頭で一旦、考えているのではありません。瞬間的に出てくる、本能、煩悩に我々の日常の行動は支配されてしまうわけです。本能、煩悩がなければ人間は生きられませんが、強くなりすぎてしまうと利己心、つまり悪しき心を生んでしまい、身を滅ぼしてしまいます。何としても本能、煩悩を抑えて利他の心がでてくるようにしなければなりません。その際に必要なのが知性なのです。「自分だけがよければいいというのはおかしいではないか。みんなが幸せになっていくように考えたらどうだ」などと、知性でもって自らに言い聞かせなければなりません。本能、煩悩を抑えつけ、「感謝の心が大事だ、思いやり、慈しむ心が要るのだ。」ということを、日常茶飯、自分自身に言い聞かせていく、それ以外に方法はありません。利他心が常に出るように、自分に教えていく、そういう努力を続けていくことが必要です。また、利己的な欲望が出てきた瞬間に、それに気づき、意識してそれを抑え込もうと努力することが必要なのです。本能心をコントロールすることを覚えなければなりません。それが知性を高め、正しい判断を行なう能力を与えてくれるのです。